平成23年度 「ホスピス緩和ケア週間」講演会の報告

日本ホスピス緩和ケア協会では毎年10月の土曜日に設けられる「世界ホスピス緩和ケアデー」を最終日とした一週間を「ホスピス緩和ケア週間」と定め、国内のホスピスや緩和ケア医療の普及啓発活動に取り組んでいます。

 当院でも今年は10月1日土曜日に、ポスター掲示や地域講演会・施設見学会・コンサートなどを開催し,地域の方々に多数来訪いただきました。

 講演会では、緩和ケア病棟の山本師長、リハビリテーション科から専任の新田理学療法士、そしてホスピス緩和ケア担当医師である私・柴田冬樹を含めた3人のスタッフが約2時間にわたって、それぞれの立場からホスピス緩和ケアの患者さんへのかかわりと、日々の取り組みをお話させていただきました。
(愛する家族の一員が重篤な病を宣告されて死に至るまでの日々を真摯に担われ、その貴重な経験をこのような公共の場でお話することに対して快い御了承を与えて下さった、多くの御家族の皆さまの深い受容と好意とに、あらためて厚くお礼を申し上げます)

 2ヶ月前から歩けなくなり失意のうちに転院してきた末期癌の患者さんがホスピスでのリハビリによって再び歩けるようになった事例、医療スタッフとの明確な対話によって一緒に死に向き合いながら家族の一人一人へ永別の挨拶を済ませて穏やかに逝去された老婦人、鎮静剤を用いた適切な介入によって臨終期の病室の葛藤がすっかり和らぎ、妻と夫が互いに何の罪の意識も憐憫の情も感じることなく再び良い時間を共有できた夫婦、3代続けてこの安岡病院を終の棲家とし逝去された御一家とその後の経過、40年来の家族間の確執がホスピスでの看取りを契機として氷解した家族の事例、そしてホスピス緩和ケア病棟におけるライフレビュー(自分史語り)の重要性、最終ゴールの同意に至るまでの家族の一致の必要性、などを各症例から供覧させていただきました。

 講演会終了後のアンケートでは、「家族の死が納得できました」「ホスピスは救いであり希望だと思いました」「事例を紹介しながらのお話が分かりやすく,理解が深まり、感動しました」「希望が見えてきました」「これからも継続して聞かせてください」などと好評でした。
一方,「入院医療費のことも具体的に知りたかった」「病床数が少ないことに、がっかりした」とのお叱りや,励ましの内容もいただきました。すべて,これからの私たちの課題として真摯に受け止め、さらに精進し続けたいと願っています。

安岡病院緩和ケア病棟
医師 柴田冬樹