朝の一言

医療に使われるX線の話

福島原発の事故で国民の放射線への関心が高まっています。
医療用のX線も放射線の一つですがX線写真を撮った場合の体への影響を考えた時に、私たちは普通に生活する中で、いつも放射線にさらされているということを知っておく必要があります。それは宇宙線や、大地、食べ物、空気中などからの自然放射線です。自然放射線によって人体に害があるということはありません。その量は1年間に約2.4ミリシーベルト(mSv)です。Svは放射線の体への影響の度合いを表す単位です。ブラジルやインドのある地域では10mSvのところもありますが、その地方に障害が多いということはありません。
それでは医療でよく使われる胸部X線撮影ではどれくらいの量になるかといいますと約0.1mSvです。自然放射線の24分の1、すなわち胸部を24回撮ると初めて自然放射線と同じになります。自然放射線で障害が出ることはありませんので胸部X線撮影で障害が出ることを心配する必要はありません。頭部CTでは約2.5mSv、腹部CTで約6.8mSvですが自然放射線と比べても低い線量であるといえます。
放射線室に来た時に私はもういいから、もういらないから・・・とか言う人がよくいますが、何がもういらないのか考えてみますと、子供はもういらないということのようです。一時的にせよ不妊になる線量は女性の場合、生殖線に一度に650~1500mSvの放射線を浴びた場合です。それ以下の線量で不妊になることはありません。胸部撮影の約1万回分と考えていいと思います。一般人がこのような大量の被曝をすることはまずありえません。ですからX線検査で子供ができなくなることは絶対にありません。もういいとか、もういらないという言葉はもういらない。
では、放射線防護はなぜ必要かと言いますと、100mSv以上の大量の放射線を浴びた場合、将来的に癌になる確率が0.5%増えるということが原爆被害者の疫学的調査で確認されています。ところがX線撮影などの100mSv以下の少ない線量では癌が発生するかどうかはっきり分かっていません。低線量の世界は「ブラックボックス」「ミステリー」なのです。分かっていないけれども受ける放射線の量に比例して癌が発生すると考えて、出来るだけ受けないようにすることが大切なのです。
患者さんの被曝を少なくすること、さらに周囲の人に対するX線防護を確実にすることも私たちの業務です。周囲に飛散するX線は散乱線と言われ患者さんに当たるX線よりはるかに少ないものです。受ける時間を短く、距離をとって、遮蔽をする、この放射線防護の3原則を守れば確実に防げます。ポータブル撮影なら2m以上距離をとれば安全です。
放射線は医療には欠かせないものですが利益と危険の二面性を合わせ持った両刃の剣にほかなりません。正しい知識を持って正しく恐れること、これが大切です。

朝の一言(2012.2.14)より
※松涛会グループの各拠点では毎朝、松下幸之助の朗読、朝の一言を行っています。

 

安岡病院
放射線室 大口幸男

 

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肥料入れ替え

病院の中庭の肥料を全面的に入れ替えています。
寒い中、矢野さんいつもありがとうございます。

今年も、病院の中庭が元気な薔薇で一杯になり、安らぐ良い香りを患者様にお届けすることができますように。

 

特別・特定医療法人社団松涛会
副理事長 斎藤妙子

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