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医療通信

朝の一言

  • カテゴリー:安岡病院
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 今日は、最近読んだ本を3冊紹介します。一冊目は、「驚きの介護民族学」:医学書院。民族学者の著者が大学をやめて、縁あって、介護の現場で働き始めます。そこで出会った様々な人生を過ごしてきた利用者である認知症高齢者の幼少期や青年期の記憶に触れ、民族学的手法の聞き書きを重ねることで、利用者の人生が生き生きと立ち上がり、ケアする側とされる側の垣根を越えた触れ合いが描かれています。二冊目は、「上野先生、勝手に死なれちゃ困ります」僕らの介護不安に答えてください:光文社新書。団塊の世代の社会学者上野千鶴子先生と団塊ジュニア世代の社会学者古市憲寿君の介護をめぐる対談です。10年後に、団塊の世代が後期高齢者となりますが、その時になってあわてないために今から少しずつ親子で「介護の話」をはじめ、「介護準備」をすることの必要性を説いた本です。

三冊目は、演劇人の平田オリザさんの「わかりあえないことから」:講談社現代新書。日本社会が抱えるコミュニケーションの問題を論じています。会話と対話と対論には、違いがあるようです。会話は、価値観や生活習慣の近しい者同士のおしゃべり。対話は、価値観や文化的背景の違う人同士の意見のすり合わせ。対論は、AとBがどちらかを打ち負かすまで議論しAが勝てばBはAに従わなければいけません。日本には、会話と対論はありますが、対話は育っていないようです。富の分配から、いかに負担を分かち合っていくかの意志決定をせまられている日本にあって、価値観の違うAとBが、なんとか意見をすりあわせて、新たな価値Cを生み出す対話の努力が必要です。
自分の意見が100%正しいと思うのはやめましょう。自分の考えをうまく伝える技術を磨きましょう。相手の話は、納得できるまで聞きましょう。金子みすずの「みんなちがってみんないい」ではなく「みんなちがってたいへんだ」けれども、めんどくさく、気の遠くなるような対話を通してしか、新しい価値は生み出せないのかもしれません。

朝の一言(2013.3.19)より
※松涛会グループの各拠点では毎朝、松下幸之助の朗読、朝の一言を行っています。

安岡病院
院長 戸田健一

 
125-1

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