徘徊模擬訓練in横野
徘徊者発見
道端に、ぺたんと座りこんでいる年配の男性がいます。具合が悪いのかしら、ただ休憩しているだけかしら、独り
言を言いながら携帯を見ている様子が心もとないような……いろんな考えをめぐらせながら、思い切って声をかけてみました。
「こんにちは」
それでも男性はずっと携帯を触ったまま、目線を合わせてくれようとしません。名前や住まいなど、聞きたいことは山ほどあります。「暑いですね~」と、奥様の話が繰り返されるばかりで、どうしていいのか困りました。
訓練の感想
これは、7月11日(土)に横野地区で行われた徘徊模擬訓練の一場面です。
徘徊模擬訓練とは、認知症高齢者が行方不明になったことを想定し、あらかじめ設定された地区内の徘徊ルートを徘徊者が歩行。
参加者は行方不明者情報を確認し、グループごとに『捜索・声かけ・連絡通報』の方法を訓練することです。
今回は下関市安岡・吉見地域包括支援センターの職員による(認知症高齢者の対応について)の講義もあり、見学者を含め総勢120名が19班に別れて捜索しました。
実際に参加してみて、声かけの難しさを痛感しました。
認知症の方への7つの心得(・驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない・叱らない・褒める・逆らわない・笑顔で)、を頭に入れておいても、返事をしてくれない、話も聞いてくれない時の取っ掛かりがわかりません。
何か手掛かりを聞き出そうと近づくと怖がられ、怖がられるから離れてしまう……の悪循環を感じました。
また、歩くのが速い方には追い付く事も大変でした。
反省会
訓練後の反省会でも、『声かけが難しい』という意見が多数ありました。
その中で、説得よりも相手に納得をしてもらう事が大切、相手が認知症でもそうでなくても、老若男女を問わず普段から声をかけあえる状況というのが大事なのではという言葉が、とても心に残りました。
また、今回徘徊役をされた方からは、初めて声をかけられる気持ちがわかった、大きな声で話しかけられて怖いと感じたなど、貴重な意見も聞く事ができました。
もちろんお昼のカレーライスにも「おいしい!」の声があちらこちらから聞こえてきました。4時間にわたる訓練は事故も無く、無事に終了しました。
多くの地域の住民のみなさんと一緒に訓練に参加し、話し、交流できた事がわたしにとっては素敵な時間でした。
参加者代表 はまゆう苑 宮原美代子