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医療通信

ホスピス緩和ケア週間 2

  • カテゴリー:安岡病院
  • 投稿日:

10月の「ホスピス緩和ケア週間」には、ホスピスや緩和ケアを世間の人々に広く知って頂こうと全国でたくさんの催し物や、報道、ポスター掲示等が行われました。
現在、山口県には緩和ケア(ホスピス)病棟が4施設あります。安岡病院は、下関市に位置し山口県内で2番目に開設され、西部地区で唯一の緩和ケア病棟です。今年で11周年を迎えましたが、昨年は残念ながら癌で亡くなられた下関市内の患者さんの6人に1人をこの病棟でお世話させていただきました
総合病院で治療を尽くした後にいよいよ転院して来られ、やがて旅立たれるまでの短い期間を過ごされた方もあれば、早い時期から転院して来られて何度もご自宅と病院を行ったり来たりし、納得ゆく最期を迎えられた方もおられます。
ホスピス緩和ケアというのは、死に直面して苦悩する患者さんのお世話をする医療であると同時に、私たち医療者自身も「いのちと死」ということの価値と意味を新たに学ぶ道往きとも言えます。だからここでは、毎日が真剣勝負です。そして下関にホスピス・緩和ケアと言う医療が根付くためには、まだまだこれからむしろ地道な毎日の働きを積み重ねてゆかねばなりません。それは「共感」であり「とりなし」であり「癒し」であり、流行やブームのように華やかな演出とはきっと無縁のものと思います。
人間ならば誰しも年老いて、静かに病にともなわれ、そして残念ながら治癒不可能な時期に差し掛かるときが訪れます。そのとき科学技術としての医学はだんだん効力を失って行くし、その代わりに人間性の医学へその役割を譲ることになるでしょう。
みずからの死に向き合うという特別な瞬間を等しくすべての人が迎える理由は、ここにあると思うのです。ここでは、お金持ちも大統領もなんら区別はありません。人のいのちはそんなところにあるのではないからです。誰しも避けて通ることはできません。
しかし、「いのちと死」に向き合うための鍵が老いと病にあるならば、その鍵を開くための助けはホスピス・緩和ケアにあると言われているように、私たちはこれからも最善を尽くしたいと思います。何気ない病棟の日常にも「いのちと死」に向き合う患者さんやご家族と共にいるものでありたいと願います。いつまでも「いのちと死」に対する敬意と情熱を忘れることなく、この地に尽くしたいと願っています。

安岡病院緩和ケア病棟
医師 柴田冬樹

 

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