朝の一言「ケアされたと感じること」
先日、私の母は手術のため入院しました。そして手術した翌日から、すでに退屈した母からのメールが次々と届くようになり、早々に退院することにしました。
退院の手続きを頼んだ担当の看護師は、母の説明を最後まで聞かずに遮り「だからこういうことでしょ」と内容がくい違うことを言ったため、「どうして患者の話をきちんと聴かないのだろう」と私は疑問に思いましたが、母は「看護師さんって、ゆっくり話をする暇もないぐらい本当に忙しいのね、可哀想に」と同情していました。その後、主治医の先生が病室に来られ、手術が素晴らしく成功したと言われました。そして、自分の手術がどれほど完璧なものであったかを何度も繰り返し言うため、私は相槌も褒め言葉も打ち止めになり、内心「こだわるなぁ…」とうんざりしましたが、母は「それだけ自信たっぷりに言ってもらえたら安心できる」と喜んでいました。受け取り方は人それぞれだと感じ、ふと以前に調べた研究のことを思い出しました。
それは、終末期の患者が医療従事者から「ケアされた」と感じるのはどのようなことかを、患者自身にアンケート調査した研究でした。その中で「安心できる技術や処置」が最も「ケアされた」と感じ、話を聞いてくれることや丁寧な対応は低く評価されていました。私はその研究結果に少なからず衝撃を覚えたのですが、病院という場所では適切な医療を提供されることが第一の欲求であり、対応はその更に次の次元なのだろうと解釈しました。
緩和ケア病棟では、患者様やご家族の気持ちを大切に受け止めてケアをすることが大前提ですが、患者様やご家族の希望に添うためには、やはり知識や技術が必要な場面が多々あります。患者様とご家族が、安岡病院の緩和ケアを選んで良かったと感じていただけるように、知識や技術を磨き、患者様とご家族が「ケアされた」と感じられる対応を心がけ、ケアを提供していきたいと思います。
緩和ケア病棟
看護師 有光由美